「TGS2016」にて公開されたPV
Youtube動画URL:https://youtu.be/eJUg-YH8HHAプレイヤーが持つ交通系ICカードに宿った新米のツクモガミ「ツクモ」を「めがみ」にすべく、彼女と会話し、様々な言葉を教えて育てていくコミュニケーションゲーム『めがみめぐり』。
箕星太朗氏が描くキャラクターの可愛らしさはもちろん、交通系ICカードとの連動や、「めがみスピークエンジン」によるフルボイスでの会話など、様々な魅力に溢れている一作です。
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また本作は、基本プレイ無料(アイテム課金制)で楽しめるという提供形態も先日発表。その全容が少しずつ明らかとなっていますが、『めがみめぐり』の更なる本質に踏み込むべく、このたびプロデューサーの野中大三氏を直撃。「めがみスピークエンジン」や基本無料となった背景、そして本作の魅力などを直接伺いました。
──発表からTGSでの試遊出展まで、非常にスピーディな展開を見せた『めがみめぐり』ですが、水面下での道のりは長かったことと思います。まずは、ここまでたどり着いた率直な心境をお聞かせください。
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野中氏:『めがみめぐり』は、交通系ICカード連動であったり、オリジナルの音声合成システムであったりと、技術的な研究開発や試みも複数行われたタイトルなので、製品リリースに向けた動きをTGSに合わせて行えたことがすごく嬉しいです。
──本作の開発期間は、現時点でどれくらいですか?
野中氏:2年未満くらいですね。
──特に苦労した点といえば、やはり技術面でしょうか。
野中氏:業界初のものが入ってたりしますので、製品になるようまとめ上げるのはやはり大変でした。スケジュールを切れないくらいの形でスタートしましたが、今年の12月8日に配信するという発表が行える進捗に達することができたのでよかったです。
今回のTGSに合わせて本作の詳細をお伝えできたので、より多くのユーザーさんから注目してもらえました。
──本作が初めて発表された時も話題となりましたが、本作の内容や基本無料といったリリース形態が明らかとなり、更に多くの方々に広まった印象を受けます。
野中氏:8月24日に出させてもらったものは、研究開発の意味合いが濃い発表だったので、製品に落とし込まれるのはいつになるか、サービスが始まるのはどれくらい先なのかは分からない状態でした。ですが、興味を持ってもらうことは出来たようなので、約3週間後に詳細などを発表できてよかったと思っています。
──発表から発売日の告知まで、非常に短かかったですね。
野中氏:もともと年内に発売したいという意向があったんですが、「新しい技術を使ってこんなゲームを作っていますよ」と発表した時に非常に反響が多く、色んな意見が飛び交ったので、早く製品情報をお届けしたいと考え、発売日など含め発表させていただきました。
──本作は基本無料とのことですが、このリリース形態を選んだ理由をお聞かせください。
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野中氏:まず、ICカードとの連動が理由のひとつです。交通手段なり物品の購入なりで、ユーザーさんがICカードでお金を払うわけじゃないですか。それをゲームに盛り込むわけですが、ゲーム本体が有料だと二重にお金を払ってるような形になり、印象がよくないですよね。
──ICカードを使っての支払いは、すでに移動手段や商品などの対価を受け取っているわけで、本来何も問題はないんですが、それでも悪印象にならないような道を選んだわけですか。
野中氏:もうひとつの理由は、東芝さんと共同で開発した「めがみスピークエンジン」です。弊社が音声合成技術を手がけるのは今回が初なので、より多くの人に聞いていただきたいんですよ。
3DSのソフトですから、3DSのスピーカーで聴くことを前提にしています。そのため、動画などを撮って公開しても、100%の魅力は伝わらないんです。私達としてはやはり、実機で確かめていただきたいという気持ちが大きいので、そのためには基本無料にする方がより多くの方に確かめていただけると考えました、
──では「めがみスピークエンジン」は、本作だけでなく、今後更に展開していきたい技術なんですね?
野中氏:そうしたいですね。
──「めがみスピークエンジン」の開発で苦労された点や、ここに注目して欲しいといったポイントはありますか。
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野中氏:コミュニケーションゲームの醍醐味はやはり会話のやりとりですよね。例えば果物の名前ながら、相当マイナーなものまで範囲を広げれば、収録でも対応することができます。でも、ユーザーさんが独自に生み出した言葉を発音することはできません。そこもカバーできるように、音声合成技術を用意しました。
音声合成技術自体は、日本でもずっと前から開発が進んでします。その主な分野は、カーナビか新聞などの読み上げなんですよね。そしてどちらも、正しい情報を綺麗に伝えることが重要なポイントなので、感情表現はむしろ邪魔な存在なんです。
そのため、音声合成技術による感情表現というのは、あまり研究されていない方向性でした。そこで、感情表現がちゃんと入った音声合成技術を確立しようと開発したのが、今回の「めがみスピークエンジン」なんです。
可愛いツクモちゃんの声で、喜んでいる時には楽しそうなイントネーションになりますし、悲しい時はちょっとネガティブな印象を与える声になります。それは、既存の音声合成技術ではほとんどチャレンジされていないものなので、東芝さんの力もお借りしてゼロから作り、ちゃんと商品という形に落とし込むことができました。
──感情表現が、「めがみスピークエンジン」の大きな魅力なんですね。
野中氏:TVゲームというのは、遊ぶ人の感情を「いかにして揺さぶるか」が基本のテーマになるので、「めがみスピークエンジン」という技術は、エンターテイメントのカテゴリーにおいて非常に未来があるものだと考えています。
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