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【特集】「Nintendo Switch」に搭載されるNVIDIA Tegraプロセッサーとは―試金石「NVIDIA SHIELD」から紐解く

NVIDIAが500人年かけ共同開発を行ったという「ニンテンドースイッチ」にはどのような技術が使われ、どのような革新がもたらされるのかを、今記事で紐解いていきます。

任天堂 Nintendo Switch

10月20日、任天堂は次世代ゲーム機となる「ニンテンドースイッチ」の情報を公開しました。「ニンテンドースイッチ」は、据え置き機と携帯機を文字通りスイッチできるゲームハードで、プロセッサーにはGPU業界大手NVIDIAの専用にカスタムされたTegraプロセッサーが搭載されています。NVIDIAが500人年かけ共同開発を行ったという「ニンテンドースイッチ」にはどのような技術が使われ、どのような革新がもたらされるのか、紐解いていきます。

■Tegraプロセッサーとは


「ニンテンドースイッチ」に搭載されるTegraプロセッサーは、2009年頃に第一世代が誕生。当初はモバイル端末向けSoC(統合型プロセッサー)でしたが、世代を重ねるごとにタブレットやノートPC、Android OSのゲーム機などに採用されていきました。現在では、同社が開発を進める自動運転車プラットフォームのスーパーコンピューター「Drive PX」シリーズにも活用されています。

9月28日にオランダで開催されたイベントでは、次世代アーキテクチャ「Volta」世代の車載向けSoC「Xavier」を発表。シングルチップで大幅な小型化・省電力化しつつ、GPUを4基搭載していた「Drive PX 2」と同等の性能をみせるなど、ゲーミングGPUだけでなく自動運転やサーバー向けGPU技術のノウハウをいかんなく発揮。NVIDIA製のSocが世代を重ねるごとに驚くべき進化を遂げていることを証明しています。また、「ニンテンドースイッチ」用のAPIにも、これまでゲーム開発用ライブラリツール「GameWorks」で培った技術が活かされていると思われます。

ちなみに、今年5月に台湾で開催されたComputex Taipeiにあわせてメディア向けに行われたNVIDIAのメディア説明会で、ゲーミングに活用できるとされる未発表の次世代Tegraがお披露目されていました。このPascal世代のTegraは、Maxwell世代の「Tegra X1」よりも大幅に高いパフォーマンス・省電力を実現しているとみられます。「ニンテンドースイッチ」に搭載されているものと同一かは不明ですが、今後、明らかにされていきそうです。

■試金石となったNVIDIA SHIELDとは

NVIDIAは、2013年からTegraプロセッサーを搭載した独自のゲーム機「NVIDIA SHIELD」シリーズを展開しています。日本でも代理店が販売を行っていたタブレット版「SHIELD」のコンセプトは「ニンテンドースイッチ」と非常に似ており、深い関係にあると考えられそうです。ここでは、日本で展開しなかった携帯機版から現在も海外で販売されている据え置き機版の「SHIELD」について解説します。


2013年、NVIDIAは第4世代の「Tegra 4」を搭載した自社製携帯ゲーム機「NVIDIA SHIELD(のちにSHIELD Portableと改名)を販売。HDの5インチディスプレイとコントローラー、Android OSを搭載し、専用のストアからはViveの『Half-Life 2』や『Portal』をはじめとしたPCゲームの移植タイトルで遊ぶことができました。さらに、NVIDIA製GPUを搭載したゲーミングPCからストリーミングでゲームをプレイできる機能も搭載。


2014年になると、NVIDIAは「Tegra K1」を搭載したAndroidゲーミングタブレット「NVIDIA SHIELDタブレット」をリリース。「NVIDIA SHIELDタブレット」は、「SHIELD Portable」をはるかに超えるパフォーマンスをほこり、専用のワイヤレスコントローラがアクセサリーとして用意されていました。また、HDMIケーブルをテレビに接続することで、据え置き機のようなゲーム体験を可能としていました。

初期型はバッテリーの発熱問題によってリコール対象商品となってしまい、その後、初期型の反省を生かしたリニューアル版「NVIDIA SHIELDタブレット K1」が2015年にリリースされています。


同じく2015年には、「Tegra X1」を搭載したAndroid据置き機「NVIDIA SHIELD Console」が登場。車載スーパーコンピューター「Drive PX」にも採用されている同プロセッサーを搭載した「SHIELD Console」は、Xbox360やPS3よりも性能が高いとされています。Netflixなどの4Kストリーミング動画に対応している他、『バイオハザード5』『ボーダーランズ2』『メタルギア ライジング リベンジジェンズ』といった数々の据え置き機向けのゲームが移植されました。

■「ニンテンドースイッチ」の隠された機能を大胆予想



まだまだ公開されている情報が少ない「ニンテンドースイッチ」。ディスプレイがタッチパネルになるのか、外部ストレージは使えるのか、SIMによるモバイルネットワークに対応するのかも不明のまま。もし「ニンテンドースイッチ」が「NVIDIA SHIELDタブレット」を踏襲したものだとしたら、縦方向でのスマートフォン的な使い方も期待できるかもしれません。将来的には、コントローラーアタッチメントを接続する部分にGPSユニットなどを接続して『ポケモンGO』をプレイしたり、ヘッドマウント式のアタッチメントにはめ込んでワイヤーレスのVRを堪能できる未来があるかも?

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任天堂とNVIDIAという世界のトップランナー同士のコラボレーションが、ゲーム産業にどのようなイノベーションをもたらすのか、詳細の発表が待たれます。
《Daisuke Sato》
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