こんにちはSUKESANです。
ファミコンで発売されたカセットの数は、一説には1,053本と言われています。懸賞のプレゼント等、非売品となる特別なカセットも存在していましたし、完璧に正しいかと問われると疑問は残るものの、いずれにせよ非常に多くのタイトルが発売されたわけです。そしてファミコン後期になると、データのセーブにパスワードを必要としない、いわゆる「バッテリーバックアップ」付きのカセットが登場しました。
これにより、『ドラゴンクエスト2 悪霊の神々』に代表されるような、とんでもない文字数のパスワード(復活の呪文)に付随する諸問題が解消されました。しかし、逆に言えば内蔵されている電池の寿命が尽きればセーブデータは消えてしまう為、ある意味でバッテリーバックアップによるセーブは諸刃の剣とも言えたのかもしれません。
ちなみに、電池の寿命に関しては諸説ありまして、発売から30年経った今でも起動したらデータが残っていたというケースもありますし、2~3年でセーブできなくなった、もしくは頻繁に消えるようになったいうケースもあります。恐らく、4~5年程度が電池自体の寿命なのかなと、僕は思っています。
では、その大事な内蔵電池が切れてしまった時はどうするのか。メーカーの修理交換が終了してしまっている現代では、自分でやるか、そういったサービスを提供しているお店に頼むほかありません。
電池交換は個人でやるにはなかなか勇気がいるのですが、今回はあえて挑戦してみたいと思います。なおこうした行為は、すべて自己責任となりますのでご注意ください。
用意したのは『ドラゴンクエスト4 導かれし者たち』です。発売は1990年ですので、現在(2021年)ですでに30年の月日が経っていることになります。みんな歳をとるわけです……。
さて、気分を取り直していよいよ電池交換に入っていきます。必要なものはこちら。
交換したいカセット
マイナスドライバー(100円均一のセットとかのでも問題ありません)
新しいコイン型電池『CR2032』。こちらも100円均一で購入できます。3つで100円とかもある。
セロテープ、もしくは薄めのビニールテープ
まずはカセットの外側を開けていきますが、この冒頭の作業こそが電池交換最大の難所と言っても過言ではありません。カセットの形状はメーカーによって色々あるのですが、基本どれも簡単には開けることができない仕様になってるからです。大事なのはとにかく「ゆっくり」進めること。
左右どちらからでも問題ありませんが、下の部分のこの位置にマイナスドライバーを差し込んでいきます。最初は手で軽く開いて、隙間を作ってその隙に!と言った感じ。5ミリくらい差し込み、てこの原理を使って、隙間を広くしていきます。あくまでも、ゆっくりゆっくりと。すると、パキッと嫌な音はしますが、爪が外れます。
正直この作業、傷を全くつけないでやるのは物理的に不可能です。非常に心苦しいですが、多少の破損は仕方ないと割り切ってください。今回はちょっと割れちゃった……。すいません……。
片方が終わったら、逆の部分の下方向も同じように開けていきます。この時、作業中に最初に開けた部分が再び閉まってしまうこともありますので、何かを挟んでおくと良いでしょう。
左右両方の下が開いたら、今度は上側です。これも同じく左右どちらからでも構いません。穴の部分にマイナスドライバーを差し込み、てこの原理で開けていきます。同じようにもう片方も。
これで上下左右の爪が外れて、パカっと開けることができます。
基盤が正体を現しますので、焦らずにゆっくりと外し、電池の部分を確認します。すると、このように金属でロックされているのが見えるはず。この古い電池を外すのですが、カセットによってはガッツリと、ハンダで固定してある場合があります。これは個体差が大きい。
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熱を与えるのは怖かったので、こちらもマイナスドライバーで慎重に、てこの原理を使って外していきます。金属の部分が破損してしまうと一大事なので、指でフォローしながらゆっくりと。
なんとか、古い電池を引っぺがすことに成功。お次は新しい電池を同じ場所に入れ替えます。そして、セロテープやビニールテープで固定。電池を触ってみて、動かなければそこまで神経質にならなくても大丈夫です。
いよいよ最後の工程です。基板を同じ位置に収めて、カセットの外側をパチっとはめ込みます。隙間が空いてしまう場合は、上にタオルなどをかけて、ちょい強めに上から押すとハマるかと思います。
以上です!慣れれば10分くらいで交換できるようになるのではないでしょうか?
さっそく、テストです。ファミコン本体にカセットを差し込み、電源ON!タイトルはしっかりと表示されました。しかし問題なのは、セーブができるかどうか。
第一章のライアンさんを速攻で教会に連れていきセーブ。そしてリセットしてみると……。
やりました! 無事にセーブされています。これで少なくとも4~5年は遊べますね。
今回の電池交換の作業で一番大事なのは、繰り返しにもなりますが、「とかにくゆっくり」です。焦ってしまうと確実に割れます……。皆様も思い出のカセットがあれば是非新しい電池に交換して、楽しんでみてください!
オマケの話。実は電池公開の際、スケルトンカセットで有名な『沙羅曼蛇』の基板を抜いて、小さな水槽(もちろん本当の生き物ではなく)を作る企画もあったのですが、今回は割愛。機会があれば、また…。
SUKESANでした、お読みいただきありがとうごさいました!
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■著者紹介:SUKESAN
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元ファミ通の編集者、現在はCM、番組ディレクター・プロデューサーとして活動中。新垣結衣をはじめ、アイドルやタレントのピアノ・歌の講師でもある。
《SUKESAN》