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――既に完結から10年以上経っているので、今だから言える話もあると思うんですが、何かパッと思いつくものはありますか。たとえばトラブルとか。
松田:え、トラブルですか?
江口:あぁ!タイムリーな話題じゃないですか。
松田:実はユーザーさんからカスタマーセンター宛に「不具合でゲームが動かない」とカセットが送られてきまして……一昨日まで作業していました。
――あれ、今年2016年ですよ。もしかしてVC版の話ですか?
松田:いえ、オリジナル版です。アドバンスのカセットが送られてきまして、ちょっとセーブデータをいじっていました。
江口:そういえば松田さんずっとアドバンスの開発キットもっていますよね。
松田:返そうと思うんですけど、3年に一回ぐらい修理案件が送られてくるんで座席においているんです(笑)
――そういえば不具合ありましたね、あれ直るんですか。
松田:セーブデータをいじれば治りますね。たとえ発売から10年経っていても、無下に断れないんです。
――まだ遊んでくれているんですね。
加治:今でもコーエツ兄さんが治してくれているのか……。
石原:あと「デューオソウル」と「フォルテソウル」を出す構想があったと思うんですが、容量と期間の問題で泣く泣くボツになりました。確かロムの中に、入る予定だった枠だけは残っていると思います。
松田:本当に容量ギリギリ、デバッグに必要なデータすら入らなかったですからね。
江口:色んなもの削りましたからね…漢字とか。
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――常に容量との戦いだったんですね。
石原:本格的にキツくなったのは『エグゼ4』からで、あまりに足りないのでフィールドキャラクターのサイズを小さくせざるを得なくなりました。全ドットをイチから作り直しです。
江口:本当はどんなキャラでも8方向に動けるつくりなんですが、容量の問題で、あるキャラクターはパターンは4方向だけとか、電脳世界に出てくるキャラは歩かずにスーーって移動したりとか(笑)。
石原:プラグイン画面も最初は結構な凄い枚数を使って表現していたんですが、回を追うごとにどんどん減っていきました。
加治:実はエグゼって、当時の他のソフトと比べて少し値段が安かったんですよ。なぜかというと容量の少ないROMを使っているからで、シリーズを重ねても容量だけはかわっていません。全てはお小遣いの少ない子供たちのためにです…!!
――では本当はもっとやりたいことが?
江口:どうなんでしょうね?上を見たらキリがないので、与えられた条件で最高のものを作る事も大切かなと。でもどの道、開発期間的な問題で難しかったかもしれませんね。
――読者からは「セレナード」に関する質問も多く寄せられているんですが、結局「セレナード」のオペレーターは誰なんでしょうか。
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江口:皆さんのご想像にお任せします……という回答にさせてください。でも皆さんが思っている人物で合っていると思いますよ。
――もしかしたらこれも答えられない質問かもしれませんが、『エグゼ3』のエンディングで「まもるくん」が登場していますよね、それはどういったシーンなのでしょうか。
江口:あれはまもるくんが手術を受ける時に熱斗と約束した「退院したらネットバトルしようぜ」という約束を果たすシーンなんですよ。なので、あのPETは熱斗のPETなんですよ。
ただエンディングの時系列ってふんわりしていますが、そのペットの中にはロックマンは居ないので、そこでの会話はご想像ください。
石原:因みにエンディングは名人じゃなくてプログラマーが演出しているんです。
江口:おっと……バレてもうた。……そうなんですよ!だいたい面白い演出はプログラマーの方がいい感じにしてくれました(笑)。
松田:実は演出部分はあまり指定がなく、みんなで話しながら作っていましたね。
江口:昔は少人数だったので。
石原:『エグゼ3』でUIがガラっと変わったんですが、あれもプログラマーが主導して「やろう」と。
――どんどん名人の功績が……。
江口:いやいや皆の勝利ですよ!(笑)。まぁまじめな話ですが、1年で一本作りあげるのはチーム力ですね。
――では、もし今『ロックマン エグゼ』の新作を作るとしたら、どのような作品になりますか?
江口:これね、結構難しいんですけど、『流星のロックマン』を作るときに「エグゼの次の世代が憧れられるもの」というのがテーマでして、「電脳世界」の次にワクワクできるのは「電波世界」だろうと。
なので、もし今また『エグゼ』を作るとなると、「いま子供たちがあこがれるもの」を基準にしますね。基本的にはPETにナビがいるというのはそのままだと思うんですけど、何か違うアプローチといいますか、舞台は今風にします。実は具体的なアイデアもあるんですが……これはもしもの事があった時のために伏せておきます(笑)。
――これは難しい質問かもしれませんが、皆さんにとって『ロックマン エグゼ』とはどのような作品でしょうか。
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江口:原点ですね。今年で入社18年目ですが、シナリオを書いたのは『エグゼ』が最初なんですよ。今の僕の仕事スタイルの基本になったのがエグゼなので、僕のゲームクリエイターとしての原点的な作品です!
加治:ファミコンの『ロックマン』とか『X』も作っていたんですが、『エグゼ』は結構自由にやらせてもらえまして、これまではロボットばかり描いていたんですが、『エグゼ』では大人や女の子を描いたり出来たので、非常にいい経験ができた作品でした。
石原:いろんなものが丁度いい気持ちよさというか、デザインにしても、ストーリーにしても、システムにしても、音楽にしても、気楽さと熱さのバランスが丁度いいんですよね。その全てが気持ちよく楽しい作品でした。
松田:いろんなチャレンジをさせてもらえまして、1ユーザーとしてもプレイして楽しみまして、特に『エグゼ3』なんかはフルコンプしたので、完成されている作品ですね。
中島:新人として初めて入ったチームで、短い期間の中で完成させ、お客さんの反応もすぐに返ってきて、ゲーム開発とはなんたるかを学べました。当時の自分にとって良い思い出の多い作品です。今でもファンの方に愛されていて、エグゼに関われて良かったなあ~と感じています!
――最後にネットバトラーの皆さんに名人としてのコメントをお願いします。
江口名人:ネットバトラーの皆さん、長い間エグゼを応援してくれてありがとうございます。皆様の応援あっての『エグゼ』ですし、『6』から10年経っても色あせない『エグゼ』という作品をいつの日かチャンスがあれば、また何かしらの形で届けていきたく思っているので、これからも忘れることなく応援よろしくお願いします。僕の中ではある程度構想があります!
松田:え、急に!?
江口:その通りになるかはわからないですがね。
松田:じゃその時は白衣新しくしないとですね!
江口:そう!まだまだ名人やりたいんで!よろしくお願いします。
――お忙しい中集まっていただきありがとうございました。皆さんのおかげで、我々は光熱斗とロックマンという存在を通して素晴らしい体験をすることができました。『ロックマン エグゼ』15周年おめでとうございます。
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現場には歴代グッズの他にもファンからのバレンタインチョコが!
毎年送ってくれるそうです。
毎年送ってくれるそうです。
終始笑いが絶えなかった今回の座談会。今なおファンに愛され続けている作品を手がけたスタッフがこの様に集結し、当時の話を聞くのは非常に感慨深いものがありました。ナンバリング作品に関しては、全てWii U向けのバーチャルコンソールでプレイすることができますので、改めてプレイするとまた違った感覚で楽しめそうですね。
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中島さんと石原さんに素敵な15周年記念イラストを描いていただきました!
また読者の皆様にはアンケートにご協力頂きありがとうございました。ささやかではありますが、カプコンから読者プレゼントを頂いていますので、「サイン入りクリアファイル+エグゼグッズ詰め合わせ」を抽選で1名様にプレゼントします。皆様の応募お待ちしております。
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応募に際しては下記内容を承諾し、弊社の「個人情報保護方針」に同意いただいた方のみ、インサイドの公式ツイッター @INSIDEjp をフォローして下さい。
その後、ツイッターの名前、インサイド編集部へのコメント(任意)を記入のうえ、件名に「ロックマンエグゼ読者プレゼント」と明記して、「webmaster@inside-games.jp」宛にお送りください。〆切は2016年4月3日23:59です。
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